チップチューンとは?
チップチューンとは、ファミコンやゲームボーイなどの昔のゲーム機に入っていた音源チップの、あの「ピコピコ」した電子音で作る音楽のことです。8bit音楽とも呼ばれます。
今は実機がなくても、DAW(音楽制作ソフト)に専用の音源を入れれば同じ音を鳴らせます。ゲーム音楽のイメージが強いですが、いまは作業用BGMやTikTok・YouTubeの動画BGMとしても親しまれています。
チップチューンってどんな曲? まず3曲、聴いてみてください
正直に言うと、ORIGAMI OBAKE TOKYOの曲は教科書どおりの純粋なチップチューンとは少し違います。ファミコンっぽい8bitの音色を軸にしながら、オリジナリティを加えアレンジしています。「チップチューンの音ってこんな感じなんだ」という入り口として、まず3曲どうぞ。
夏をテーマにしたEP『夏のあはれ』の1曲目です。子どもの頃に見た夏の記憶みたいな音を目指して作りました。短い動画やVlogの後ろで流しても、じゃまにならないと思います。
「夏のあはれ」を聴く
アーケードゲームの記憶を音にした、全10曲のアルバムです。ORIGAMI OBAKE TOKYOの曲のなかでもよく聴かれているので、最初の1枚にもちょうどいいと思います。
「Pixel Nostalgia Drive」を聴く
ちょうど去年の夏に出したシングルです。ソーダの泡がはじける瞬間を、花火に見立てて作りました。爽やかで、少し懐かしい。この時期にいちばん合う曲かもしれません。
「虹色ソーダ」を聴く
気に入った曲があれば、それぞれのページからBandcampで買えます。ほかの曲も、MUSICのページにぜんぶ置いてあります。
チップチューン(8bit音楽)の定義・歴史・技術とは
チップチューンとは、古いゲーム機やパソコンの音源チップの音色と制約を活かした電子音楽のジャンルです。
| 項目 | チップチューン | 8bit音楽 |
|---|---|---|
| 言葉の意味 | 音源チップの音色や制約を活かした音楽ジャンル | ファミコン風・レトロゲーム風の音楽表現 |
| 範囲 | 実機音源、トラッカー制作、DAWでの再現音源まで含む | 主に8bitゲーム機を思わせる音色や雰囲気を指す |
| 作り方 | 少ない音数やシンプルな波形を活かして作る | 実機音源だけでなく、現代の音源で再現されることも多い |
| 使われ方 | 楽曲リリース、ゲーム音楽、動画BGMなど | レトロ感のあるゲームBGM、動画、配信BGMなど |
日常的には「8bit音楽」と近い意味で使われますが、チップチューンは音源チップ由来の音色や制作思想まで含む、より音楽ジャンル寄りの言葉です。
Chiptuneとは、1970年代から80年代のコンピューターやゲーム機に搭載されていた「音源チップ」から作られた音楽、およびその制作方法を指します。録音された生楽器の音ではなく、電子回路が描く純粋な波形そのものを楽器として扱う、デジタル時代の「工芸的」な音楽ジャンルです。
最大の特徴は、デジタル信号でありながら「アナログのような温度」を持っている点にあります。情報量の少ない音色は、聴き手の記憶や感情を膨らませ、独特のノスタルジーを生み出します。SNS動画やTikTok/リールBGMとして、言葉を超えたキャッチーなフックを生み出すツールとしても注目されています。
音を形作る3つの原音:基本波形
電子音の象徴。波の幅を調整する「デューティ比」(12.5%、25%、50%など)を切り替えることで、鋭く鼻にかかった音から太く丸みのある音まで多彩に変化します。主にメロディで使われます。
丸みを帯びた柔らかな音。音源チップの特性上、音量調整に制約がありますが、その安定感からベースラインに重宝されます。
砂嵐のような非周期の音。短く制御することで打楽器(スネア・ハイハット)や、風、爆発音といった効果音が作れます。
不自由を美徳に変える技法:Arpeggio
かつての音源チップは同時発音数が3〜4音と極めて少数でした。この制約を克服するために編み出されたのが、音を猛スピードで切り替えて鳴らし、耳に和音を錯覚させる「高速アルペジオ」です。これがチップチューンを象徴するキラキラとした独自の質感を生んでいます。
最近の傾向:Fakebit
現在は実機を使わずとも、最新の制作環境(DAW)上でその質感を高度に再現させることが可能です。これを「フェイクビット」と呼びます。
「Fake(偽物)」という言葉が含まれますが、これはネガティブな意味ではありません。実機の「音数」や「エフェクト」の制約をあえて突破し、現代の技術と融合させることで、「チップチューンの魅力をより豊かに、鮮明に拡張した進化系」として支持されている手法です。TikTok等の短尺動画でも「埋もれない音」として非常に高い実用性を誇ります。
ビデオゲーム・ミュージックの原点:任天堂とセガ
「ファミコン」の内蔵チップ(RP2A03)は独特の太い音を持ち、矩形波2、三角波1、ノイズ1というチップチューンの標準的な構成を確立しました。
PSG音源(SN76489等)は、ファミコンよりも鋭く透明感のある音が特徴。多くのアーケード移植作を支え、独自のファン層を築きました。
動画クリエイティブでの活用:TikTok / リール BGM
チップチューンの「抜けの良い音」は、他の楽器音に埋もれない純粋な周波数を持っているため、スマートフォンのスピーカーでも鮮明に響きます。この特性は、動画の「キャッチーさ」を劇的に高めるため、現代のクリエイターにとって非常に強力なBGM素材となります。ORIGAMI OBAKE TOKYOでは、この特性を活かした楽曲提供を行っています。
チップチューンの変遷:半世紀のタイムライン
チップチューンの作り方|今はDAWと専用音源で作るのが主流
チップチューンは、いまはファミコンなどの実機がなくても作れます。DAW(音楽制作ソフト)に8bit系の音源プラグインを入れて作るのが主流です。
作り方の流れはシンプルです。
- DAWを用意する。どのDAWでも作れます。普段使っているものがあればそれで十分です。
- チップ音源プラグインを入れる。定番はPlogueの「chipsounds」(ファミコン系)や「chipsynth SFC」(スーファミ系)。実機の音源チップを忠実に再現できます。
- 少ない音数で書く。本来のチップ音源は同時発音数が3〜4音程度。この制約を守ると「らしさ」が出ます。和音はアルペジオ(分散和音)で表現するのが伝統的な技法です。
- ドラムとベースは柔軟に。チップ音だけだと質感が単調になりがちなので、現代のソフト音源を混ぜる作り方も一般的です。
実機を使わずにチップの質感を再現するこの作り方は、上で紹介した「フェイクビット」にあたります。
制作について
楽曲の制作はPro Toolsで、Plogueの「chipsynth SFC」(スーファミ音源)と「chipsounds」(ファミコン音源)を中心に使っています。曲はチップチューンなので当然インストですが、歌えるようなメロディを大事にしています。ドラムはチップ音源だけだと幅が出ないのでソフトの音源を混ぜ、ベースも王道のチップ音にはこだわらないことが多いです。
ゲーム中は手を動かしているので純粋なチップの音でも飽きませんが、音楽だけを聴くと同じ手触りが続いて飽きてしまいます。なので8bitの質感を軸にしつつ、純粋に音楽として一曲を通して楽しんでいただけるように心がけています。
よくある質問
ざっくり言うと、8bit音楽は「ファミコン世代っぽい音」全般を指す広い言い方で、チップチューンはそのうち音源チップ由来の音色や作り方の思想までこだわったものを指します。重なる部分は多いですが、チップチューンのほうが「どう作るか」まで含んだ言葉です。
英語では「chiptune」または「chip music」と書きます。「8-bit music」と呼ばれることもあります。
昔はファミコンなどの実機の音源チップで鳴らしていましたが、今はDAW(パソコンの制作ソフト)に8bit系の音源を入れて作るのが一般的です。実機を使わずにチップの質感を再現する作り方は「フェイクビット」と呼ばれます。